2008年03月11日

第2回教養講座:病院を取り巻く環境と病院内部の変化(要旨)

●第2回教養講座

『病院を取り巻く環境と病院内部の変化』(要旨)
1990文 朝岡 美好〕

 1990年以降の15年間で日本の病院数は約10%、病床数は約3%減少している。数量面の変化は少ないものの、無床診療所と療養病床保有病院は増加し、100床未満小規模病院と有床診療所が減少するなど施設間の機能分化は進んでいる。医師数は増加しているが、人口あたり医師数や急性期病床あたり医師数は先進諸国と比べて極端に少ない。病院の病床が多く、医療従事者が少ないのが日本の医療供給体制の特徴といえる。

 現に、OECD先進諸国と比べた日本一般病床における生産性および投下資源量は著しく低い。平均在院日数は米国6.5日、イギリス7.6日、ドイツ10.9日、フランス13.4日(ドイツのみ2002年、ほか2003年)に対し日本19.8日(2005年)、病床百床当たり医師数はフランス89.5人、米国85.7人、イギリス63.9人、ドイツ53.1人に対し、日本23.8人(2004年)である。逆に日本では医療機器への設備投資が活発で、人口百万人当たりCT台数はイギリス7.0台、フランス7.5台、ドイツ15.4台に対し、日本92.6台(2002年)となっている。

 一方、1983年に14.5兆円だった国民医療費は2004年には32.1兆円となり上昇の一途をたどっている。将来的な医療費の増大を抑制するため、診療報酬は2002年に初めて本体部分が削減され、その後も削減傾向にある。あわせて医療体制の変化も予定されている。一般病床は90万床から63万床へ削減が目指され、急性期病床の淘汰が見込まれている。療養病床は医療療養・介護療養あわせて38万床から15万床へ削減が予定されており、老人健康保健施設や介護型有料老人ホームへの転換などが見込まれている。かつては診療報酬体系に即した機能分化と業務改善アプローチにより、安定的な収支確保が可能であったが、今後は機能に見合った専門性向上が求められるといえる。

 医療機関における収益規模やコスト構造は提供される医療機能によって大きく異なる。急性期病院(ここでは急性期入院加算・急性期特定入院加算を算定する病院とする)では100床当たり1,438百万円の収益を上げ6.7%のEBITDAマージンを得ている一方、慢性期病院(ここでは療養病床が許可病床の60%以上を占める病院とする)では収益は827百万円と急性期病院の半分近いものの14.0%のEBITDAマージンを得ている(いずれも2005年医療経済実態調査より)。急性期病院では医療機器などの設備投資がかさむだけでなく、医療従事者を多く配置する必要がある。限られた人的・物的資源を地域で効率的に投資する視点が必要となる。

 このような効率性の観点だけでなく、医療サービスの質的向上の観点からも、域内で異なる専門領域の医療機関が統合・連携したり、同じ専門領域の医療機関が地域を越えて統合・連携するなど、医療機関同士の統合・連携の重要性が今後、一層高まると見込まれる。

タグ:講座
posted by wpa2 at 02:10| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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