2008年03月12日

第3回教養講座:介護問題(要旨)

第3回教養講座
日時:2008年3月8日(土)  

介護問題(要旨) 
谷口幸一(東海大学健康科学部)

1.世界一の長命国日本
平成19年度の統計によれば、「平均寿命」は女子85.81歳、男子79.00歳で女子が世界1位、男子が世界3位、また健康・生活自立の指標である「健康寿命」(健康が損なわれている障害期間を平均寿命から差し引いた期間。重い障害に悩む期間が長いほど、健康寿命と平均寿命の差は開く。WHOは今後も健康寿命を発表する方針で、平均寿命は言わばわき役の指標になる)も男女平均で平成19年度現在で75歳台でこれも世界一位である。健康で長生きという指標からすれば、世界で最高水準の地位にあるが、人は老いの進行と共に非自立・要介護の状態を迎え、期間の長短はあるものの、やがてターミナルを迎える。まさに、この時期の生活課題が「介護問題」である。日本の高齢者介護の実状を探る。

2.ベビーブーム世代の高齢化にどう対処するか
2015年には、団塊の世代(1947-49年生まれの世代で約800万人)が前期高齢期(65-74歳)に入る、そして2025年には後期高齢期(75歳-)に入る。この世代の介護予防システムの整備が緊急の課題となっている。介護保険制度の保険料の抑制、国民医療費に占める高齢者医療費と介護費用の削減を目指すためにも、出来るだけ介護軽費を使わないで済む自立した生活の維持に役立つ「介護予防」の推進が叫ばれている。低栄養状態の改善、筋力・持久力を高めることでの生活体力の維持・向上、閉じこもりを防ぐ社会参加の促進などが主な介護予防対策として上げられている。とくに閉じこもりは心身の不活発状態を生起させ易く、心身の虚弱化と要介護状態そしてやがて認知症発症の契機に繋がり易いとされ、要注意である。

3.施設介護・自分介護への期待
 一昔前は,ターミナルは自宅で迎えたいというのが、大方の人の願いであったが、現代では家族への介護期待が減り、公的福祉サービスや福祉施設での介護や老夫婦のみや一人暮らしを望む傾向が強くなっている。家族の介護力低下、老親扶養意識の希薄化、老いに対する若い世代の理解不足や思いやり精神の低下などが背景にある。

4.家族介護者の姿と介護する家族の悩み
自宅で老親(70歳台、80,歳台)を介護している介護者は、50歳台の実娘が圧倒的に多い。介護電話相談資料(介護支え合い相談・研究事業報告書、国際長寿センター2007.3月刊)によれぱ゛、日本全国からの電話相談に持ち込まれる相談内容は、介護保険申請以前の意思決定の悩み、被介護者(要介護段階:T〜X)に対する介護上の心身の疲労、介護方法、家族間の人間関係のトラブル、施設・病院に関する情報や苦情、介護保険、被介護者の問題行動などに関することなど実に多様である。介護の素人である家族介護者が対応で最も苦慮されていることは、認知症またはその疑いのある身内の介護場面で現れる行動異常(BPSD:認知症の行動・心理症状など)に対する対処の仕方である。徘徊、暴言・暴力、拒否、幻覚・妄想などへの対処である。これらの介護方法に公式がある訳ではないので、介護経験年数や介護者の性格やストレス耐性や介護場面の認知的評価(介護の意味づけ)や、介護者を支える環境条件(緩衡要因:周りの理解度、情緒的・物的支援、公的サービスの利用、続柄、レスパイトサービス利用など)によって介護の質や維持に影響する。

質疑:
虐待や介護破綻に陥らないようにするためには、介護者の介護に対する実際的支援や思いの丈をぶちまけられる仲間や相談者の存在が介護負担の軽減化に役立つ。近隣の介護仲間(ピア)の組織化や地域で支える相談・支援体制の整備などが解決の糸口となる。

ラベル:講座
posted by wpa2 at 21:52| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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